農作物の栽培はいつだって獣害や病害虫との戦いでもあるということは、少しでも農作業をかじった人にとっては当たり前のことかもしれません。
今回はその中でもブドウの虫害について、スポットを当てていこうと思います。
私達消費者にも身近な果物であるブドウ。
一体どのような栽培者を、悩ませる虫害があるのでしょうか。
ブドウ栽培をしている人の中によく、カナブンと思われる虫の食害に悩まされている人を見かけます。
葉を網目のように食い荒らすという被害です。
目立ちやすい葉の食害は、生産者をやきもきさせることでしょう。
しかしその食害は、本当にカナブンによるものなのでしょうか?
いったいどういった対応、対処法があるのでしょうか。
そんな疑問を詳しくご紹介してきたいと思います。
カナブンとよく似た昆虫それは害虫コガネムシかも!?
黄土色、赤銅色、緑色などに輝く虫が葉を食い荒らしているのを見かけたら、カナブンと勘違いするのも仕方がないことでしょう。
しかしカナブンの主食は腐った果実または樹液で、葉を食べることはありません。
しかもカナブンは幼虫期には落葉などを食べて分解を助け、土壌改善をしてくれる益虫なのです。
では葉を食い荒らすカナブンに似た害虫って何?
それはコガネムシです!
コガネムシはブドウの葉を網目状に食い荒らし、多発すると果実まで食べてしまいます。
その上、コガネムシは幼虫も根を食い荒らす害虫の中の害虫です。
カナブンとコガネムシは同じコガネムシ科の昆虫であり、一見では見分けにくいものです。
ですが、見分けるポイントがいくつかあります。
まずカナブンの色味は黄土色や赤銅色であるのに対し、コガネムシは緑色であることが多いです。
そしてカナブンの体長は25~30mm、コガネムシの体長は17~23mmとカナブンのほうがやや大きいのです。
加えてカナブンは形が平べったく、頭部が四角っぽい印象です。
逆にコガネムシは、全体的に丸っこい形をしており、頭部も丸い形をしています。
最初は見分けにくいのは確かですが、益虫であるカナブンまでも駆除してしまわないよう、よく観察することが重要です。
ブドウにつくコガネムシを駆除するには?
コガネムシ類の被害は6月~9月上旬まで続きます。
そんな害虫をどうやって駆除していけばいいのでしょうか。
それは見つけ次第捕まえて息の根を止めることです。
コガネムシの成虫は朝の早い時間帯は動きが鈍く、木を揺すると簡単に落下させることができます。
木の下にシートを敷いて一気に落とし集めると良いでしょう。
同時に地中にいる幼虫も、見つけ次第捕まえて息の根を止めることも肝心です。
しかし幼虫の駆除はなかなか難しいので、卵を産みつける前にしていくことを心がけましょう。
薬剤の散布も有効ですが、安易な農薬の使用は農薬取締法に抵触する違法行為となる恐れがあるので、お近くの農協や専門農家の方へ相談してからの使用をおすすめします。
まとめ
ぶどう栽培に害虫はつきものですが、その駆除方法はいたって原始的な手作業がほとんどです。
根気がいる作業ではありますが、美味しいブドウを作るためには必要不可欠な作業です。
またすべての虫が害虫であるわけでなく、土を改良してくれる益虫がいるということもぜひ知っておいてください。