大きな耳で20Hz以下の低周波の音を聞き分け、30km離れた場所の雨や雷を感知することが出来るほど耳のいい象。
おそらく私たちには想像が出来ない、音の世界に住んでいることでしょう。
そんな象ですが、ここまで耳がいいと嫌いな音も大きく聞こえるはずです。
では、象の嫌いな音ってあるのでしょうか?
象の嫌いな音はあるの?
大きな体と長い鼻でライオンですら恐れさせる象ですが、そんな象にも苦手な生き物がいます。
意外かもしれませんが、象は蜂を大の苦手としているのです。
象の体は硬い皮膚で覆われており、ある程度の動物からの攻撃であればびくともしません。
勿論、蜂の攻撃も象の堅い皮膚には全く効きません。
では何故、蜂を苦手としているのでしょうか?
堅い皮膚に覆われて無敵に見える象ですが、実は弱点もあります。
それは目や耳の周り、鼻の穴の中などの柔らかい部分です。
これらの部分は、一般的な肉食獣にはなかなか狙って攻撃することは出来ませんが、小さな蜂はピンポイントで、この柔らかい部分を狙って攻撃することが出来ます。
小さくて素早く集団で攻撃してくる蜂に襲われると、さすがの象もお手上げというわけです。
小さな蜂を大きな象が、目で見て存在を確認することは難しいので、象はよく聞こえる耳を使って蜂の「ブ~ン」という羽音を聞き分け、蜂の存在を確認します。
そして蜂の存在に気付くと、一目散に逃げるのです。
海外の実験で象の群れに向けて、蜂の羽音をスピーカーから流してみたところ、象の群れは警戒音を出しながらスピーカーの反対側へ逃げたという結果もあり、象は本能的に蜂の羽音に警戒心を持っているようです。
海外の象の生活圏と近い農村部では、農場の周りに膨大な数の柵を作成し、この柵に沿って蜂の巣を設置した。
そして蜂の巣にワイヤーを繋いで象がこのワイヤーに触れると、蜂の巣が揺れて蜂が飛び出す仕掛けを作った。
その結果、蜂の羽音を聞いた象は反対方向に逃げて行き、その結果、人も象も傷つくことなく農場の農作物を守ることが出来たという報告もあります。
まとめ
象は蜂の羽音が直接的に苦手という訳ではなく、蜂が苦手というところから蜂の羽音が苦手になったという面が強いようです。
人間でいうと、蚊の羽音に近いかもしれません。
どんな動物にも苦手なものがあり、それでバランスが取れているということですね。