動物の噛む力は、いったいどのくらいなのでしょう。
シャチやホオジロザメは人間に比べると、相当すごい事は何となく解りますが、どの程度なのかを実際に計ってみたくなりませんか。
しかし、いったいどうやって計るのだろう、という壁にぶつかります。
計測する機械を持って海に潜って計るわけにも行きません。
しかし、ワニの噛む力を図る為に、10人がかりで押さえ込んで計測した記録が残っています。
まさに命がけの計測です。
骨まで食べつくす、サバンナの掃除屋とよばれるハイエナは、噛む力が強いとはされていますが、本当のところはどこまで調べがすすんでいるのでしょうか。
いったいどれ位の力で噛めるのかを、そのほかの動物たちとあわせてご説明いたします。
動物の噛む力!ハイエナの噛む力は?
動物の噛む力、いわゆる咬合力は、その咬筋の強さと、顎の形状で違いが出ます。
頭の側面は、その咬筋の付着部分となりますので、噛む力は、その動物の頭骨の形状と面積、また、今までの命がけで調べた研究者のデータの積み重ねから推定され、数値が決められています。
その為、今は絶対に計る事ができない恐竜の噛む力も、推定できるほどになっています。
ちなみにそういう推定を含めた順位をつけるなら、1位はシャチ2位はワ二3位はカバとなり、残念ながらハイエナの噛む力は大型獣にくらべると及びません。
ハイエナの中で一番大柄のブチハイエナでいうと、噛む力はライオンや、トラと同程度と言えます。
しかし、顎の力はライオンやトラよりも強い為、骨を噛み砕くのは得意であり、大型獣よりも勝るところもあります。
そういう意味では、噛む力と噛み砕く力は別物で、犬歯の力よりも、奥歯に近い裂肉歯の力が強いという事がわかります。
ハイエナの顎の力は、1平方センチあたり70キロの力があり、人間の約7倍の力を持っています。
まとめ
噛む力は、獲物の捕らえ方にも関係してくるようで、恐ろしい程に口を開けてせまりくるイメージのあるホオジロザメは、実はさほど噛む力はありません。
しかし、歯がノコギリのように鋭いので、相手を傷つけ、出血多量で動けなくなるのを待ち、丸呑みします。
一方、ワニは獲物を口で押さえつけて動けなくするので、噛む力はサメよりも強い事が解っています。
要するに、動物の歯は、形状や硬さ、使い方でそれぞれに進化してきたということです。
簡単に噛む力だけが、強さの進化ではありません。
サメは相手を切り裂くために、ライオンは噛み切り、そして貫通させるために、ワニは相手を押さえ込みながらゆっくりと飲み込むために、そして、ハイエナは誰も手をつけなくなった骨を噛み砕く為に、それぞれの歯が進化をしてきたのです。
ハイエナのイメージを悪くしている、命を落としてしまった動物の骨まで食べている姿は、この噛み砕く能力が生き残るために進化したからなのです。