コウモリは鳥類ではなく哺乳類であるにもかかわらず、空を飛ぶことができます。
多くのコウモリが夜行性で、夕方になると同じく夜行性の虫を捕食するために活動を始めます。
どうしてコウモリは何も見えない暗い洞窟や夜の空を自由に飛ぶことができるのでしょうか。
それは、ほとんどのコウモリがエコーロケーションという情報収集の能力をもっているからです。
そしてコウモリのエコーロケーションには、超音波を聞き分ける優秀な耳が不可欠です。
コウモリの耳の仕組み
エコーロケーションとは、発した超音波の反響によって周囲の状況を認識することをいいます。
コウモリが出した超音波は障害物や小型コウモリの主食である虫にぶつかってはね返り、戻ってきた超音波をコウモリは耳で聞き分けます。
この時、超音波が戻ってくるまでの時間で物体との距離を、周波数の違いで速度を、量の違いから物体の大きさを知ることができます。
超音波の反響を受け取って情報を得るために、超音波に頼って飛ぶ小型コウモリ類は視覚よりも聴覚が発達してきました。
オオコウモリ類は超音波を使わない種が多く、視覚が発達しています。
物体に当たりはね返ってきた超音波を聞き取るために発達した耳、この耳を塞ぐとコウモリは上手に跳べなくなります。
コウモリの耳の構造
コウモリの写真をみると、大きな耳が特徴的です。
なかには顔の3倍以上ありそうな大きな耳を持つコウモリもいます。
コウモリの耳は基本的には人間の耳と変わらないつくりをしています。
人間の耳は外耳、中耳、内耳に分けられますが、それはコウモリも変わりません。
外から見える大きな耳は外耳部分で、もちろん鼓膜もあります。
構造は同じでも、聞こえる音の周波数は異なります。
人間の耳は個人差はありますがおおよそ20Hzから2万Hzの音を聞き分けています。
コウモリはこの人間の可聴域である20万Hzを超える音を聞き分けます。
20万Hz前後の音を出すコウモリもいいれば、120万Hzもの高周波を出すコウモリもます。
まとめ
たいていの動物は目からの情報に頼って生活しています。
コウモリの耳は他の動物の目のような役割を果たしているのです。
暗闇の中で「虫が見える」と言うべきなのか「虫が聞こえる」と言うべきなのか、人間のものさしでは表現することが難しい能力です。
物体に当たって戻ってきた超音波を耳で集めている様子は、まるでアンテナのようです。
この優秀なアンテナのおかげでコウモリは夜の空を自在に飛び回ることできるのです。