ほとんどのコウモリが昆虫を主食とする中、ナミチスイコウモリだけが動物の血液を主食にしています。
基本的には牛や馬などの家畜の血液を吸血しますが、人間を襲う場合もあります。
ナミチスイコウモリは森林に生息する夜行性のコウモリで、メキシコ北部から南アメリカにかけて分布しています。
幸いなことに日本には生息していません。
体長は7㎝から9cmほどで体重は25gから50g程度と、あまり大きくありません。
ナミチスイコウモリは鼻で動物の体温を感知していると考えられ、このセンサーのような鼻で獲物を探し出します。
ナミチスイコウモリは社会性の高い動物です。
血縁関係のない複数のメスで通常100匹ほどの群れを作り、子育てをします。
また、血を吸えなかった仲間に血を吐き戻して分け与える行動が確認されています。
2晩続けて食事ができずに餓死してしまうことを防ぐための行動で、群れのコウモリ同士お互いに助け合って生活しているのです。
ナミチスイコウモリが吸血をする理由
なぜナミチスイコウモリは吸血をするのでしょうか。
それは、ナミチスイコウモリの食事が血液だからです。
ナミチスイコウモリは鋭い切歯をもっており、この切れ味の鋭い歯で主に馬、牛、鶏などの家畜動物の皮膚を切り裂いて吸血します。
切り裂いて出来た傷から流れ出てくる血液を舌で舐めとるのです。
唾液の中に血液が固まらないようにする物質が含まれており、獲物の血が凝固せず吸血することが出来ます。
吸血にかかる時間は20分から30分程度です。
このコウモリは体が小さいため25mlほどの血液で満腹になり、獲物が亡くなるほど吸血することはありません。
しかし狂犬病のウイルスを媒介するため、吸血コウモリにかまれると狂犬病に感染する恐れがあります。
まとめ
コウモリといえば吸血鬼のイメージがありますが、吸血するコウモリは1100種類以上存在するコウモリの種の中でもナミチスイコウモリだけ、というのはとても意外です。
しかも吸血する血液の量も、それほど多くはありません。
大多数のコウモリが虫を主食としているのに対し、なぜナミチスイコウモリだけが血液を主食とするようになったのでしょうか。
もしかしたら進化の過程で他のコウモリとは違う食べ物を求めることで、生存競争を避けたのかもしれません。