馬には「種馬」と呼ばれる、人工授精するために精子を取り出す専門のオスの馬がいます。
デリケートな作業なので、詳しくは知らない方もいるでしょう。
どのような作業工程を踏んでいるか、順番に見てみましょう。
種馬から種はどのようにして採取する?
乗馬用や食肉用に利用するための繁殖用の種馬ではなく、今回は競走馬の種馬についてご説明します。
競走馬では、精子の冷凍保存や体外受精を禁止しています。
新鮮な精子を、繁殖するメス馬に直接交配させる必要があるからです。
種馬の事を「種牡馬(しゅぼば)」と言います。
種牡馬は、引退した競走馬や、サラブレットの血統を持つ馬、または海外から輸入された馬など、経緯は様々です。
種牡馬になるためには、必ず登録をしなければいけません。
体外受精は禁止していますが、人工的に行う体内受精は可能なので、その為の精子を採取します。
人工膣法という方法があり、ゴム製の筒状の形状をしています。
出入口にお湯をため、膣内の温度を再現します。
こちらに種馬を乗せ、筒の中に陰茎部を入れて精子を採取するのです。
メス馬のお尻などが目に入ると、精子をより採取しやすくなります。
サラブレッドの場合、人工授精は禁止しています。
卵子や精子の取り違えなどを防ぐため、目視で確認しながらの自然受精を行っています。
種を採取するための種馬の価格は?
大活躍したサラブレッドの種ともなると高額になります。
競走馬を知らない方でも一度は耳にしたことのある、「ディープインパクト」は、種付け料が4000万円になります。
最高価格では、1961年生まれの「ノーザンダンサー」という馬が、2億4000万円で売りに出されましたが、買い手が付きませんでした。
もちろん、人気がない種馬もいます。
種付け料は無料だったりする場合もありますが、1980年から新しい種付け料の制度が決められました。
交配しても、妊娠がうまくいかなかったり、子が生まれなかったりする場合があるからです。
出産が上手くいくと、種付け料を支払う、などの制度が設けられているようです。
まとめ
現役時代に活躍した競走馬の種は、高値で取引されることが多いですが、だからといって、子孫を残せるかどうかは別の話になります。
「オグリキャップ」は有名馬ですが、種馬となってからはなかなか子孫を残すことができず、今では血統を見つけるのも稀です。
逆に、種馬となってからその血統が大活躍した、ということもあります。
競走馬として最高の成績を残せる馬になるかどうかは、運しだいのようです。