動物園の人気者、象の子供が生まれにくくなっていることはご存知でしょうか?
象は、ワシントン条約により、輸出入が厳しく制限されています。
その為に、動物園のシンボルともいわれる象の数が著しく減少しており、繁殖によって増やす以外になかなか数を増やしていく方法がないのです。
しかし、象の交配は大変難しく、また、子どもが無事成長することも難しいため、国内から象は消えてしまうのではないかと言われています。
象の出産と習性!
象の妊娠期は22ヶ月、人間より1年も長く胎内で子どもを育てます。
子供の成長スピードが遅いため、と言われています。
象の交配はシーズンがあり、雄は年1回ムストと呼ばれるシーズンを迎えます。
この時期になると雄は大変興奮しやすく、飼育員が近づくのも危険なため、日本では長くオスの象を飼育しませんでした。
今はシーズンになると展示を中止し、安全を保っています。
雌は3.4ヶ月に一度交配シーズンがあります。
また、雌の出産サイクルは4.5年に一度といわれ、2年はシーズンも来ません。
40歳くらいに閉経を迎えるまで続きます。
象は、日本では単体で飼育されている動物園も多く、野生とは違って動物園で飼育される象が良いシーズンを迎えていても、その時期に相手がいなければ子孫繁栄は望めません。
また、人間と同じで相性もあり、象の繁殖は大変難しいのが実情です。
象の出産のための場所は?
本来、象は雌同士で作る血縁で構成された10から20頭の群れで生活します。
その群のなかでお互いに助け合い、様々なことを学習していきます。
子育ても周囲がサポートし、グループで子どもを天敵から守りあい、助け合う共同生活を行います。
しかし、動物園に群れを形成するほどの規模で飼育できる施設があるのは稀です。
ですから、動物園育ちの個体にとって、出産も子育ても未知の体験であり、また、出産して直ぐは興奮状態にあるため、痛みにパニックを起こして仔象を攻撃してしまう母親もいます。
ある動物園では、生まれた子象をかばおうとして飼育員が事故にあったこともあります。
象の出産は大変デリケートで、そう簡単にはいきません。
最近はそういったことに配慮し、出産を終えた仲間の象がいる動物園に一時的に移動して、ある程度環境を整えて出産させる取り組みを行い、事故を防いでいます。
まとめ
象の出産と子育ては本来群れの中で行われ、互いを助け合い子孫を残していくものです。
しかし、動物園はそうした本来の環境ではなく、象自体が出産体験がないと、パニックになってしまう例が少なくありません。
象を国内で飼育するために、動物園同士の横のつながり、協力が必要になっています。