草原で寄り添ってくつろぐライオンの家族。
こんな仲むつまじい光景を、テレビなどで見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ライオンは群れの中で交配・出産し、群れ全体で子どもを育てます。
サバンナではこのような光景を、あちこちの群れで見ることができます。
ところで、ライオンが交配をおこなうとき、メスのほうから誘いをかけることをご存知でしょうか?
群れのリーダーであるオスがメスを誘うのかと思いきや、実際は逆なのです。
このように、ライオンの交配では、あまり知られていない不思議な現象が起こります。
なぜ、ライオンはメスから交配を誘うのでしょうか。
ライオンがメスから交配を誘う理由
ライオンの交配がおこなわれる時期は特に決まっておらず、メスが発情したときにあわせて交配がおこなわれると言われています。
このため、交配の主導権はメス側にあります。
オスは発情期が近づいたのを察すると、そわそわとメスの様子をうかがいます。
それに対してメスは、発情期が来ると、オスの顔にお尻を近づけ、しっぽでオスの顔を撫でて誘うしぐさをするのです。
お許しを得たオスライオンはめでたくメスと結ばれます。
この行為は15分に1回のペースで繰り返され、長い時はそれが1週間もの間続きます。
その間、オスもメスも一切食事をとらないそうです。
ちなみに、ライオンの仲間であるネコも、交配を誘うのはメスからです。
これも、メスが発情期に入らないと交配ができないためで、オスはひたすらその時を待ち続けるしかないのです。
また、ライオンの群れの中には複数のメスが暮らしていますが、1つの群れの中で適齢期のメスが発情する時期はほぼ同時である、という研究結果があるそうです。
これは、複数のメスが同時期に出産することにより、お互いに子育てをし合ったり、天敵から子どもを守ることが容易になったりするためであると言われています。
余談ですが、ライオンの群れでは、リーダーが交代すると以前のリーダーの子どもは根絶やしにされてしまいます。
これは、子育て中は発情期がこない、というメスの特殊な習性のためです。
自分の子孫を残すために、新しいリーダーは前リーダーの子どもを駆逐し、メスが新たに発情するようにうながすのです。
まとめ
ライオンがメスから交配を誘うのは、メスの発情期に合わせているためでした。
子孫を残すためには、オスは我慢強くメスの発情期を待ち続けるしかありません。
その姿を想像すると、堂々としたオスライオンのイメージとはちょっと違っていて、なんだか面白いですね。