日本の伝統的な文様には自然からヒントを得たものが多く、植物や動物、天気をモチーフとした模様が数多くあります。
花の模様には桜や松、竹や梅、紅葉などがあり、このほか流水の模様や雲の模様もあります。
自然を大切にした日本らしい模様ですね。
また生き物の模様にはカメの甲羅のような亀甲、千鳥模様、鹿の子模様などがあります。
今回はその中のひとつ、鹿の子模様について掘り下げたいと思います。
鹿の子模様にはどんな意味があるのでしょうか?
それではまとめていきたいと思います。
鹿の模様とその意味
鹿の模様といえば、茶色の背中に白い斑点が散らばったあのバンビ模様ですよね?
実はこの模様は子鹿だけではなく大人の鹿にもあるのです。
オス・メス関係なく夏の間にだけ見られる模様なのですが、いったいなぜ夏の間だけなのでしょうか?
夏の間、森の中には暖かい木漏れ日が差し込むのですが、その光と一体化することで、外敵から見つかりにくくするための保護色だそうですよ。
ちなみに冬のあいだは鹿たちの毛はもっと濃い茶色になり、まだら模様はなくなります。
その時期は枯れ葉など、茶色の背景と同化して見つかりにくくするためだそうです。
生き物の進化は素晴らしいですね。
では、絞り染めの鹿の子模様とはどんな模様なのでしょうか?
鹿の白い斑点模様に似ていることから鹿の子(かのこ)模様と呼ばれるようになったのですが、輪投げの輪のように、中心部が色づかず白く残っている模様が沢山集まったもののことです。
この鹿の子模様の技法はとても手間がかかります。
まず生地を少しだけつまみ、その周りを糸でぐるぐる巻きにします。
あらかじめその部分をたくさん作ってから布を染めるのですが、染め上がった際に糸をほどくと、その部分だけ色が染まらず白く残ります。
大変手間がかかるので高級な和装などによく用いられますが、シンプルかつ可愛いと、男女を問わず人気の高い模様です。
鹿の子模様に込められた意味ですが、鹿は神の使いともされていることや、繁殖能力が高いこともあり、子孫繁栄の象徴とされています。
そのため鹿の子模様は縁起の良い模様だとされていますよ。
まとめ
鹿たちの模様に隠された意味は、野生の鹿たちのたくましさや素晴らしさを象徴したとても縁起の良い意味だということが分かりましたね。
これからは、職人さんの素晴らしい技術や手間、またその模様に隠された縁起の良い意味に思いをはせてみてはいかがでしょうか。