今ではアフリカゾウとアジアゾウが主ですが、太古の象と言えば、ナウマンゾウやマンモスなど、約160種類も存在していたというのはご存知でしょうか?
どれも長い鼻と大きな体、長い牙が特徴的です。
しかし象はもともとあんな姿だったわけでなく、進化の過程であの特徴である鼻と、巨体へと変わっていったと言います。
では、象の祖先はどんな動物だったのか、進化の過程でどう変わっていったのかを紹介していきます。
象のびっくり進化過程!元々のサイズは中型犬?!
象の鼻は、実は元々は長くはありませんでした。
というのも、6000万年前にいた象の先祖は、今のような巨体ではありませんでした。
同じ真長鼻類で言うと、フォスファテリウムという動物の化石が見つかっていますが、大きさが中型犬ほどしかなく、アリクイやバクのような姿で、鼻も発達しておらず短かったそうです。
体が大きくなった背景には、時代が流れていくにつれ世界の気温が下がっていき、森林から草原に変わる場所が増え始め、餌を求め草原に変わったことが挙げられます。
草原の方が森林より餌を得やすく、またそれによって体も大きくなっていきました。
体が大きくなる、ということは餌を食べたり、水を飲んだりするためにはそのたびにしゃがまなければならなくなる、ということです。
また、しゃがんで水を飲んだりするのは、他の肉食動物に狙われやすくなるためリスクが伴いますし、脚にとても負担がかかります。
肉食動物に狙われた時も、早く逃げづらくなります。
しかし頭の比重が大きな象は、他の草食動物のように首を発達させるよりも、鼻を長くした方が生きていくのに便利でした。
そのため、首が短くなり、その代わりに鼻が長く進化していきました。
という経緯で、象は進化の過程で鼻が長い個体が生き残り、数が増えていきました。
そのため、鼻の長い象だけが生き残り、現在に至る、というわけなのです。
因みに、鼻だけではなく下顎が発達したプラティベロドンという種類も、化石で発見されていて、こちらは長い鼻と共に下顎がシャベルのように進化しており、丁度塵取りのように地面の草や水草を掬い上げ集めるように食べていたと思われます。
今の象は鼻の先端だけで、ちいさなピーナッツもつまめるくらい器用、他にも用途も様々なので、プラティベロトンのような下顎は恐らく退化していったのだと思われます。
まとめ
象の特徴的なあの長い鼻には、進化という長い長い年月を経て得た、生きるための術が詰まっているのですね。
鼻だけでなく顎も、発達した種類もかつて存在していたあたりに、進化の多様性を感じます。