獅子の子落としということわざをご存知でしょうか。
読み方は、ししのこおとしになります。
そのまま読めば、獅子が崖から子どもを落とすという意味にもとれますが、そうではありません。
どんな意味合いをもつのか、その意味をひも解いてみたいと思います。
虎を崖かけ落とす?どんな意味をもつことわざなのでしょうか?
まず、語源についてですが、由来は、太平記・十六からになります。
「獅子は子を産んで三日を経るとき、万じんの石壁より母これを投ぐるに、その獅子の幾分あれば、教へざる中より身を翻して、しすることを得ずといへり」とあります。
意味は直訳すれば、獅子は子どもを深い谷へと投げ込み、その谷から這い上がってきた強い子どもだけを選んで育てるという意味になります。
ちなみに、ここで使われている獅子は、中国の清涼山に住む伝説上の霊獣(獅子)のことになり、ライオンや虎のことではありません。
中国には、獅子をはじめ、猩々、麒麟、鳳凰等、想像上の神獣が数多く存在し、ことわざに使われております。
獅子は、災害、疫病等から人間を守ってくれる力をもち、強さの象徴とされているとのことです。
このことわざのもつ本当の意味は、大事な子どもにこそ、大きな試練を与え、敢えて厳しく育てることで、その子どもの心を強くし、能力を伸ばすということになります。
似た意味合いをもつことわざには、かわいい子には旅をさせよほか、親の甘いは子に毒薬、若い時の苦労は買ってもせよ、親の甘茶が毒となる等が挙げられます。
英語訳では、Spare the rod and spoil the child.。
まとめ
中国には、中華民族の始祖の一人とされている伝説の虎神・伏羲がおります。
また、十二支の中でも最良の部類に属する虎は、王者、英雄、豪傑のシンボルとされ、百獣の王と称えられる存在となっております。
このことから、丈夫な男の子に育ってほしいとの意味をもち、男子が生まれた時は虎子と、女子が生まれた時は虎女と幼名を付けることがあるとのことです。
わたし達が日常、大事な虎の子なる言葉を用いますが、この言葉は虎が子どもを大事に育てる習性をもつことから、大切なものを手放さない、秘蔵のものという意味をもっております。