馬の歯について考えたことはあるでしょうか。

よく、咀嚼方法の例として人間の対比に用いられます。

人間は下顎を垂直に動かし食物を噛む咀嚼方法に対して、牛や馬は下顎を水平に動かして食物を咀嚼します。

では、人間の歯は乳歯から永久歯に生え変わるように、馬の歯はどのように生え変わったり伸びたりするのでしょうか。

馬 歯 伸びる

馬の歯は生え変わるだけではなく伸びる

馬は人間と同じように歯が乳歯から永久歯に生え変わります。

しかし、すべての歯ではありません。

犬歯と後臼歯以外の歯が生え変わります。

犬歯と後臼歯は生まれた時から永久歯です。

そして、馬の歯は人間と違い伸びます。

馬は石臼のように食物を擂りながら咀嚼します。

この咀嚼方法ですと、食物だけではなく馬自身の歯も少しずつ削れていきます。

馬の歯は削れていくことが前提で、年間2~4mm程度伸びています。

馬の伸びる歯を見ると年齢が分かる

昔、馬の売買では今のように血統書などありませんので、買い手は馬の歯を見て年齢を推測していました。

歯の生え変わり具合、削れ具合から年老いた馬ではなく、元気な若い馬を買っていました。

歯に関する知識がない買い手は、売り手の言葉を信じて年老いた馬を高値で買わされることもあったようです。

売り手側としては長年観察していないと分からない馬の歯の削れ具合ですが、少しでも有利に売るためにできる限り馬の歯を買い手に見せないようにしていました。

馬の歯は内側からセメント質、エナメル質、象牙質になっています。

削れても神経に至ることはなく痛みはありません。

その変わり、すり減った部分が黒く変色していきます。

毎年数ミリずつ歯が伸びるので歯の高さは変わりませんが、黒い変色箇所が目立つようになります。

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馬の歯を人為的に削る理由

馬は石臼のような咀嚼方法により歯が削れますが、噛み癖などで綺麗に削れていくわけではありません。

削れ方によってはどんどん歯が尖っていき、口内を傷つけてしまうこともあります。

そのため、定期的に人間が馬の歯の削れ具合を確認し、口内を傷つけてしまいそうな歯が有れば人為的に削ることもします。

歯を削らないことで起こる馬の不調

バランスが悪い削れ具合の歯になることで、尖った歯が口内を傷つける以外にも馬の不調に繋がります。

食欲減退の他にも、馬具のハミをかませたときに口の向きや馬の身体のバランスが悪くなります。

身体のバランスが悪くなると、バランスを保つため身体の変な個所に力が入り怪我に繋がる可能性があります。

きちんと石臼のように咀嚼できるように専用のヤスリで人為的にケアすることで、歯だけではなく身体の不調を防ぐことに繋がります。

まとめ

馬の歯は伸びます。

咀嚼方法が石臼を引くように下顎を水平に動かして食物を削る咀嚼方法のため、馬自身の歯も少しずつ削れていきます。

削れた箇所は黒く変色しますが、年間数ミリずつ伸びるので歯の高さは変わりません。

また、伸びるだけではなく人間のように乳歯から永久歯に生え変わる歯もあります。

馬の歯の仕組みは石臼のような咀嚼方法により、人間より複雑です。

滅多に馬の歯をじっくりと観察する機会は少ないと思いますが、この知識で馬のおおまかな年齢を想像してみるのもいいのではないでしょうか。

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