虎といえば美しい毛皮に対して、どう猛で肉食の大型動物というイメージを持たれる方が多いと思います。
そんな虎が現在、絶滅危惧種に指定されています。
ワシントン条約においても、商業目的とする国際取引は禁止されています。
20世紀初頭には10万頭いたと言われていた虎が、現在はおよそ3000頭にまでへり、この1世紀で個体数が激減してしまいました。
いったい虎をとりまく環境に、どのようなことが起こったのでしょう。
そして我々にできる虎を保護する対策は、いったい何なのでしょう。
虎が絶滅危惧種にまでなってしまった原因は?
虎は高価な装飾品として、大変需要がありました。
虎の毛皮の絨毯、コート、バッグなどと富裕層の持ち物の、象徴とも思えるようなものばかりです。
このことからも容易に推測できるように、虎は高値で取引されることから乱獲されるようになりました。
また、虎の脳、骨、眼球などが伝統的な漢方薬として使われているのです。
しかし原因は、虎の密猟だけではありません。
虎は草原で暮らすライオンとは違い、森林の中で暮らします。
虎が数多く生息している東南アジアではパーム油、紙、ゴムを世界各国に輸出するために、大規模な森林伐採の上、プランテーション(巨大農場)が作られました。
なかでもインドネシアとマレーシアは、東南アジアに生息している虎の90%ほどがいる2か国なのですが、同時にこの両国のパーム油の生産量は、世界の85%とも言われています。
しかも生産量は年々増えています。
そうして住処を追いやられた虎が、個体数を維持できるわけがありません。
虎の絶滅を食い止める対策はあるか?
世界では、虎の絶滅に歯止めをかけるために、様々な取り組みがされています。
国の法律として虎の密猟を禁止する国、虎の環境を保全するために残された自然を保護する国、国立公園を国際的な保護機関と一緒に整備し、そこで虎を保護する国。
かつては、虎の巨大な市場でもあった日本も2000年には「種の保存法」が改正されて、虎の国内取引は禁止されています。
しかしそのような取り組みとは裏腹に、虎の減少は止まっておりません。
結局は商取引としての市場価値や、環境破壊が以前から変わっていないのでしょう。
まとめ
種の個体数減少に成果をあげた保護活動はたしかにあったのですが、全体としてはやはり減少傾向である虎については、もっと私達は切実に考えなければならないという事を痛感しました。
私達が具体的にできること、それは虎が保護対象であるという事をよく認識をして、虎を商品とする装飾品や漢方などの薬剤を、買わないことがまず何よりも先にできる虎の保護につながると思います。
森林伐採などの原因による虎の減少については、一か国だけで決められる問題ではないため、非常に時間がかかります。
でも虎を商品とするものを買わないという事が、どんどん当たり前のように減っていけば、少なくとも密猟の数は減って、虎の個体数減少に歯止めをかけることができると思います。