皆さんは「オオウミガラス」という鳥をご存知でしょうか?
すでに絶滅した動物の中では有名な方なので、名前は知っている方ももしかしたらいるかもしれません。
そんなオオウミガラスはどんな鳥だったのか、なぜ絶滅してしまったのかを紹介します。
オオウミガラス絶滅の原因とは?
オオウミガラスは最初に「ペンギン」と呼ばれた鳥といわれ、意外なことに元祖・ペンギンはこの鳥だと言われています。
これには説が複数あり、「ペンギン」という言葉が古代ケルト語で「白い頭」を表していた、もしくは「太っている」という言葉が現地で「ペンギン」の発音に似ていた、とも。
現在のペンギンは、南半球に生息し18~19世紀ごろに発見されたのに対し、オオウミガラスは既に8世紀ごろには発見されていたと言います。
だから元祖ペンギンなわけなのです。
確かに現存するオオウミガラスのはく製を見てみると、ペンギンによく似ています。
オオウミガラスは、生息地が真逆で北太平洋から北極海に住んでいたと言われており、分類もペンギンとは違います。
ペンギンは、ペンギン目ペンギン科ですがオオウミガラスは、チドリ目ウミスズメ科に属し、食生活もほぼ同じで魚やイカを取って食べていました。
大きさは全長約80cm、体重は約5kg。
ペンギンでいうと、ジェンツーペンギンくらいの大きさがあったようです。
オオウミガラスもまた、海中で速く泳ぐため羽がヒレのようになり、空は飛べなくなり、陸上での動きは遅かったようです。
また、とても警戒心が低く、一説には人間を恐れることがなく、むしろ興味を持って近付いてきたと言います。
ペンギンも人懐こいことで知られていますが、オオウミガラスはこれが絶滅の大きな原因になったと言われています。
北極圏はもともと人間の侵入がなかったため、人間が天敵だという意識すらなかったのです。
さらに、オオウミガラスは元々発見された8世紀ごろから羽毛や脂肪を目的として捕獲されていましたが、16世紀ごろにフランスの探検家であるジャック・カルティエの隊がニューファンドランド島に上陸して「1日で1000羽以上のオオウミガラスを乱獲した」という話が、ヨーロッパ中に広がったことで、大規模な乱獲が始まってしまいます。
各地の海岸でオオウミガラスが乱獲されたことにより、卵さえも持ち帰られてしまい、とうとう北大西洋各地にわずかに残る繁殖地にのみ残る状態となってしまいます。
しかし、それでも乱獲は続き、オオウミガラスは希少価値によりどんどん高値で取引されていくようになっていきました。
そして残った生息地は、アイスランド沖のウミガラス礁だけになり、ここは人間の近寄れない断崖絶壁に囲まれていて、辛うじて捕獲の手から逃れていました。
しかし、不運なことにこのウミガラス礁が、1830年の海底火山の噴火に伴った地震により、海に沈んでしまいました。
そこから生き残った50羽ほどが近くの岩礁に逃げ込みましたが、絶滅寸前に陥ったオオウミガラスは一攫千金を狙った乱獲者により次々と狩られていってしまい、最後に残ったつがいも発見されたと同時に捕らえられてしまったと言います。
その後に1852年に目撃情報が近辺であったとされますが、それ以降有力な情報はなく、実質オオウミガラスは絶滅した、もしくはその可能性が高い、ということになっています。
View this post on Instagram
まとめ
多くの動物の絶滅の過程に、人間が関わっていることは知っていますが、これほどに人間の手によって急速に絶滅に追いやられた動物は、いないように思います。
オオウミガラスと本来種類は違えど、現在のペンギンもまた、人間の手によって引き起こされる地球温暖化や、環境汚染などでじわじわと絶滅に近付いている種類もいます。
同じことを繰り返さないように、私たち人間がどうすべきか、今一度考える必要があるでしょう。