見事に咲いたバラを見たいなら「バラ園に行こう!」を思うかも知れません。
確かに、多種多様な素晴らしいバラが何千本と栽培されていて、その光景は圧巻でしょう。
ですが、この様な光景を維持するには、大変な苦労がある様です。
中でも、ヨトウムシとの闘いは悩みの種でもある様で、バラ園のスタッフによると、「ヨトウムシのせいで、たった1日でバラの姿は変り果てるので、かなりの注意が必要となる」そうです。
バラとトウムシについて調べます。
目次
バラに発生したヨトウムシ対策!
- ヨトウムシの発生時期
ヨトウムシの発生は、おおむね5月頃から11月頃までとほぼ決まっている様ですが、地域によっては、多少ズレるということもある様です。
バラがヨトウムシの被害に遭うのは、おおむね「秋の終わりから春本番の気候」だと思っていても良さそうです。
- ヨトウムシの習性
ヨトウムシといえば、「夜盗虫」と書く通り、夜型幼虫だということですから、昼間は鉢の底や影、または土の中など、外からは見つからない場所に隠れていて、辺りが暗くなる頃、バラの枝を伝って這い上がり、ツボミや花、葉を食い荒らすそうです。
孵化して間もない幼虫はアオムシと呼ばれ、数か所に塊となって葉の裏にいる様です。
2~3齢幼虫になると、個体はバラ全体に散らばり、バラのほとんどを餌としながら、さらに成長する様です。
アオムシの時期を過ぎると、体の色が黒くなる個体が現れるそうです。
夜に活動をする様になるのは、終齢幼虫になってからだといわれています。
それまでは、昼間でもバラの枝や葉などに見つけることができるそうです。
その頃の個体は、5cm以上にも成長しているといわれています。
- ヨトウムシ対策
ヨトウムシは、ヨトウガの子どもでした。
ヨトウガは、卵を塊で産む様です。
そこで、卵の時や孵化して間もない(個々に散らばるまでの)時期に駆除することが、最も簡単な対策だといわれています。
中には、「親虫であるヨトウガに卵を産ませなければ良いのだから、親虫の駆除が1番の対策だ」と考える栽培者もいる様です。
ヨトウムシ対策について、一例を挙げましょう。
ヨトウガ(親虫)用の罠
ヨトウムシが発生するのは、おおむね5月頃から11月頃までといわれていて、ヨトウガを捕まえるなら、おおむね「4~5月頃」と「8~10月頃」が良いと考えられている様です。
ペットボトルを加工して、「20度以上の焼酎」、「穀物酢」、「砂糖」を混ぜた「ヨトウガの誘引剤」を、バラの近く、地面からおおむね1.5mほどの高さに吊るしておくことでヨトウガがニオイに誘われて、ペットボトルの中に落ちる仕組みの様です。
落ちた個体は、外に出ることができないので、駆除に期待が持てるという訳です。
ヨトウムシ用の罠
ヨトウムシの罠は、個体の発生時期であるおおむね5月頃から11月頃、ヨトウムシの大好きな「米ぬか」を使って作るそうです。
深さ5cmほどの容器に米ぬかを入れ、地表と同じ高さになる様に埋めます。
個体が土の中に潜って隠れる習性を利用した方法で、駆除に期待が持てるそうです。
ヨトウムシの忌避剤
バラに発生したヨトウムシの対策では、「個体が逃げ出す、または、寄り付かなくなる」方法として、生活の中の素材を使って考えられた様です。
一例を挙げましょう。
- コーヒーの出しガラを使う
栽培者の間で一般的にいわれていることは、「コーヒーの出しガラをバラの土に混ぜ込む方法」だそうです。
個体の忌避が期待できるといわれています。
- ニームを使う
海外では一般的な「ニーム(日本名:インドセンダン)」という植物に忌避の効果があるといわれ、国内でも話題になっている様です。
「ニームをバラの近くで栽培すると確かに効果があった」などの体験談が見つかるので、効果が期待できるのかも知れません。
バラに発生したヨトウムシに効果が期待できるとされる薬剤
農薬を使う時期は、ヨトウムシがまだアオムシの時期の方が、効果が期待できるといわれています。
ヨトウムシは、成長するにつれて農薬が効き難くなるといわれているためです。
特に「バラ+ヨトウムシ」がキーワードになっている農薬の一例
フェンプロパトリン乳液(Rベニカシリーズ)
- 水で薄めてまく
- ヨトウムシだけではなく、幅広い種類の害虫に対応しているらしい
- 素早く効いて、長く続く効果が期待できる
クロチアニジン・フェンプロパトリン・メパニピリム水和剤(ベニカ×ファインスプレー)
- ヨトウムシなどに対して、素早く効果を表し、長く効果が続くことが期待できる
- 病気の予防効果も期待できるらしい
- 薬剤は、花にはかからない様にし、特に葉の裏は念入りに行なう
「花き類、観葉植物+ヨトウムシ」がキーワードになっている農薬の一例
アセフェート(オルトラン)シリーズ
オルトランにも数種類の薬剤がある様ですが、全体を通してヨトウムシには効果が期待できるといわれています。
そのため、バラ栽培をしている栽培者の間では、一般的な薬剤となっている様です。
① オルトラン粒剤:根から吸収された薬剤は、せいぜい1mぐらいしか吸い上げられない
- バラの苗を植え付ける前の土作りの時に、土とよく混ぜておく
- バラの根元にばらまく
オルトラン水和剤、オルトラン液剤:風の強さ、落ちてくる薬剤がかからない注意が必要
- 水に溶かしてバラの枝や葉にスプレーするタイプ
- 栽培者がスプレーするので、高い枝や葉にまで薬剤が届く
②アルミゲルア・ウワバルア・ダイアモルアなど(コンフューザーV):メスの性フェロモンを人間が作り、メスだと勘違いしたオスが共寝のできない環境を作る
- ヨトウムシに対する駆除の効果は期待できない
- 長い棒に巻き付けて立たせる、あるいは、枝などに吊り下げるなどして使う
- 効果が長く続くことが期待できる
③MEP乳剤(スミチオン):薬剤として歴史が古く、害となる昆虫にだけに優れた効果が期待できるらしい
- 益虫や人体など、環境には緩やかだ
- ヨトウムシに「直接かかる」、「個体が薬剤のかかった葉などを食べる」ことで効果が期待できる
- ヨトウムシの成長段階に関係なく、効果が期待できる
④スタイナーネマ・カーポカプサエ剤(バイオセーフ):天敵の利用で効果が期待できるらしい
- バラの苗を植え付ける前の土作りの時に、土とよく混ぜておく
- ヨトウムシへの薬剤の効果は、特に終齢幼虫に期待できる
- 人畜無害といえるほど安心
- 化学成分の農薬とまく場所が近くても効果は下がらないらしい
- 薬剤による弊害の心配はないらしい
- 「駆除の効果が期待できる生物(天敵)を使った農薬」なので、使う回数に制限がない
まとめ
バラの害虫対策には、栽培者と研究者の長い時間をかけた試行錯誤があることが分かりました。
ヨトウガとヨトウムシを罠にかける方法では、面白いほど捕まるという訳ではなさそうですが、現在、この罠を設置する栽培者も少なくないことも分かりました。
罠を仕掛けることは、幼虫の大量発生に対する対策にはなりそうだと思いました。
農薬の有効とされる種類に「花き類、観葉植物」とあれば、その中に含まれるバラは、ほとんど効果が期待できることが分かりましたが、現在では、どれを選べば良いのか迷うほどの数が出回っている様です。
今回は、「バラ、花き類、ヨトウムシ」を検索ワードとして調べています。
参考になればと思います。