『馬』を思い浮かべて下さい。
さてその色は何色でしたか?
なんて、心理テストの様な問題ですが・・・。
「白馬」とか「白い馬」、「茶色の馬」や、某漫画に出てくるような「真っ黒な馬」・・・。
普通に馬にそれ程興味がない場合は、こんな感じでしょうか?
ですが・・・実は、馬の毛色は細かく細かく分類すると、なんと100種を超えてしまう程色の種類が有るのだそうです!
ちょっとびっくりですよね。
さすがにそこまではご紹介できませんが、大雑把に分類すると大体14種類になるそうなので、今回はそのメインでよく使われる『馬の毛色』を紹介したいと思います。
目次
馬の毛色の種類について
馬の色って「茶色い馬」とか「白馬」、「黒い馬」とかそんな言い方じゃないの?と、思われるかもしれませんね。
そんな書き方をするという事は・・・?
そうです!
つまり、「馬の毛色」は馬専用の独特な言い方が有るのです。
何故、独特な言い方をしてまで馬の毛色が重要なのかと言いますと、「馬の個体識別」に使用するそうです。
血統登録時(身近な例ですと競馬用のお馬さんでしょうか)には、記載が義務付けられています。
馬に関してそれ程詳しくない場合、毛色の名前を聞いても分かりづらいでしょうね。
斯く言う自分も、説明されないとピンと来なかったり、そこでそんな風に分類するのか・・・等々、知らない事も多くありました。
では、順番に簡単に説明して行きたいと思います。
鹿毛(カゲ)
上記に何度か出てきた茶色っぽい馬のイメージに近いと思われます。
おそらく、鹿に似たような茶色の毛色である為『鹿毛』と呼ばれています。
但し全身が茶色ではなく、たてがみ、尻尾、脚の膝下にあたる先っぽの方等が黒色に近い色なのが『鹿毛』の特徴です。
後述する「黒鹿毛」や「青鹿毛」も、もっと大雑把にすると『鹿毛』に含まれます。
黒鹿毛(クロカゲ)
「鹿毛」よりも、黒みがかった赤褐色(茶色)をしています。
絵で描こうと思うなら、焦げ茶色を使う感じでしょうか。
しかし、個体によっては黒色に見える場合も有るそうですが・・・。
特徴としては、目の周りや、腋から下腹にかけて内股は他の体の部分よりは明るめの色になっています。
また、「鹿毛」に分類される通り、たてがみや尻尾、脚先は黒い色をしています。
青鹿毛(アオカゲ)
実は先述の「黒鹿毛」よりも、黒色をしています。
その辺りが、馬の毛色の定義の不思議な所にも思いますが、昔は艶々の黒髪の色を「あお」と呼んでいたので、多分綺麗な黒色を称賛する感じと自分は考えています。
全体が真っ黒ではなく、眼や鼻辺りに褐色が見らる事で「鹿毛」に分類されると思われます。
しかし、実際のところ「黒鹿毛」と区別しない場合が多いそうです。
簡単に言えば、前提として、たてがみや尻尾、四股の先が黒色で、全体的な色が、茶色は「鹿毛」、こげ茶が「黒鹿毛」、黒色が「青鹿毛」でしょうかね?
個人的に、昔の忍者漫画に出てきそうな名前だなぁ・・・なんて思ってしまいました。
青毛(あおげ)
とにかく、全身真っ黒な色をしています。
白斑や白微が有る部分は白くなるそうです。
遠目からですと、「青鹿毛」と見分けが付き辛いですが、眼や鼻の周り等も全て真っ黒いのでそこで見分けるしかないそうです。
栗毛(クリゲ)
全身の被毛が茶色の様に見えるので「鹿毛」によく似ています。
一応説明書きには、黄褐色(栗色)の馬とされていますが、写真等を見ても茶色っぽく見えちゃいます。
「鹿毛」との違いは、部位によって濃かったり明るかったりする部分がない事、脚先が黒くないところでしょう。
どちらかと言えば、個体によっては脚先が白っぽい馬も居る様ですね。
「栗毛」の中に「尾花栗毛」と呼ばれるパターンの毛色が有ります。
前髪やたてがみ、そして尻尾が白色のパターンの毛色を言います。
「尾花栗毛」と呼ばれる由来は、尻尾の毛がススキの穂の様に見えるからだそうです。
ちなみに「尾花」はすすきの別名だそうで、馬の尾に似てるから尾花と説明が有り、なんか言葉が巡り巡っている感じですね。
白色というよりも金髪の様に見えて、かなり目を引く美しい姿と言われています。
しかし出現率は、かなり低いそうです。
栃栗毛(トチクリゲ)
こちらも「鹿毛」の様に、「栗毛」の持つ範囲を狭めた感じでしょうか。
「栗毛」よりも焦げ茶色や赤褐色と言った、暗めの色合いの毛色です。
前髪やたてがみ、尻尾等は、明るめな色から暗めな色まで幅広いが、被毛(馬の全身を覆っている短い毛)の毛色はほぼ単色の様です。
「栃栗毛」も「黒鹿毛」等に見間違われ易いですが、栗毛同様に、鹿毛の黒色が特徴の部分で見分けると良いでしょう。
芦毛(アシゲ)
肌は黒っぽいが、毛並みが白色~灰色という特徴を持っています。
産まれた時は白さはあまり目立たず、鹿毛や栗毛と思われますが、年を重ねるにつれ段々と白色に近くなっていきます。
若い頃は灰色っぽかったりしていても、老齢になる頃には真っ白になっていくそうです。
競馬で有名なオグリキャップが、よく写真例などで出てきますが、確かに違う白い馬を持ってきたかの様に見えます。
日本で言う白馬とは、後述で紹介しますが「白毛」や「佐目毛」ではなく、この「芦毛」が一般的なのだそうです。
佐目毛(サメゲ)
芦毛の説明で名前が出てきたので、ピンとくるかと思われます。
俗に言う白馬ですね。
一応、説明文ではクリーム色~白色~象牙色(白色に近い光沢がある様な灰色)の毛色を持つ馬とされています。
どの種でも出現率が少ないとされています。
日本でも同様で、昔から縁起が良い馬とされ、神社などに奉納されていたそうです。
「芦毛」との違いは、勿論産まれたときから色は変わらず、肌はピンク色をしています。
眼の色も青色もしくは、灰色をしているのも「佐目毛」の特徴の一つです。
「鹿毛」や「栗毛」の様に、更に細かく分類すると、「栗佐目毛」「鹿佐目毛」「青佐目毛」になりますが、これらをひっくるめて『佐目毛』としている事が多いそうです。
河原毛(カワラゲ)
クリーム色や黄褐色、亜麻色の様に優しい色合いの被毛に、前髪やたてがみ尻尾等の長生の部分と、脚先は黒色といった特徴を持ちます。
原毛は「鹿毛」であり、「鹿毛」の毛色から変異型の遺伝子の影響でクリーム色が出たそうです。
「鹿毛」の黄褐色版と考えたら簡単かもしれませんね。
競馬で有名なサラブレットの様な軽種馬には珍しいそうですが、アメリカンクォーターホースや日本古来からの在来馬には、よく居るそうです。
月毛(ツキゲ)
元々は「栗毛」もしくは「栃栗毛」ですが、変異型のクリーム色の色素を持つ遺伝子の影響で、体毛はクリーム色から淡い黄白色になっているそうです。
個体によっては、「佐目毛」によく似た色になるそうですが、一般的に眼の色は茶色で肌の色は浅黒い色をしているので、そこで見分けるのだそうです。
たてがみ等の長い毛の部分は、被毛と同じか更に明るめの色になる様です。
画像などを検索して見てみると、金色の光沢がかった月毛の馬が出てきて、あまりの綺麗さに驚いてしまいました。
白毛(シロゲ)
俗に言われる、白馬ですね。
但し、意外と全てが白!白!という訳では無く、産まれたときは広範囲に原毛色が出ている場合もあるそうで、年を重ねるごとに真っ白になるそうです。
芦毛との違いは、肌の色はピンク色をしている為、出生時から違う種と分かります。
瞳の色は、黒色か茶色が殆どで、極稀に青い色が出るそうです。
もっと見分けが付きにくいのが「佐目毛」です。
比べてみれば、「白毛」の方がより白いそうで、全身ほぼ単色な「佐目毛」と違って「白毛」は原毛色の刺毛が生えている場合が多いそうです。
後は、瞳の色が青なら「佐目毛」黒や茶色なら「白毛」と言う見分け方も有るそうですが、先述にも書きましたが、稀に青い目の個体が産まれるので、青い目の場合は確実ではなくなりますね。
粕毛(カスゲ)
原毛色の基本の色に白色の毛が混じって生えている為、灰色っぽく見える種の事を言うそうです。
毛が白色に変化して行く「芦毛」と間違え易いですが、年を重ねても色合いが変わることはありません。
また、「芦毛」の様に毛の色自体が灰色ではなく、原色の毛と白い毛が遠目から見ると混じって灰色に見えているので、近くで見れば分かりますね。
一般的に言われる色が混合している部分は、首から腰、腹部、四股の上部分の間とされています。
また、その他の頭や四股の下部や、たてがみ等の長毛部分は白っぽい色が少なく暗めというか、濃い目の色になります。
「粕毛」にも、「栗粕毛」「鹿粕毛」「青粕毛」と 細かく分類された種類が有ります。
薄墨毛(ウスズミゲ)
毛色の特徴はその名の通り、薄墨のように灰褐色もしくは、薄めた墨のような色をしています。
白色になる途中の「芦毛」や「粕毛」と間違えられやすいですが、遺伝子自体が別物なのだそうです。
ですので、もちろん年齢とともに毛色が白くなったりはしないですし、白色の刺し色のせいで灰色っぽく見えるわけではないのです。
主だった体色に対し、長毛部分や脚は黒色をしている事が特徴です。
家畜場として、日本国内では「薄墨毛」の登録はないそうで、世界でもクリオージョという種類の馬を除けば物凄く希少なのだそうです。
家畜場ではない野生馬では、現存する最後の野生馬とされていた「モウコノウマ」が、この「薄墨毛」にあたるそうです。
ウマ亜屬(今いる家畜馬とモウコノウマ)の本来はこの「薄墨毛」だったのではないかと言われています。
駁毛/斑毛(ブチゲ)
パッと見、体に大きな白い斑が有る毛色の事を指すそうです。
顔や脚にだけにある白い模様の場合は、「駁毛」とは言わないそうです。
白い部分の大きさによって、呼び方の順序が変わります。
どういうことかと言いますと、白の斑部分が原毛色より小さい場合、「鹿駁毛」「栗駁毛」などと呼びます。
逆に原毛色の方が斑模様に見えるように、白い部分が大きい場合は、「駁鹿毛」「駁栗毛」となり、色の面積が大きい方を先に記すみたいですね。
簡単に説明するならば、牛さんの白黒模様の黒色部分を、お馬さんの原色に変えて考えると、しっくりくるのではないかなと思います。
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まとめ
最初に例として挙げた、茶色っぽい馬、白馬、黒っぽい馬だけでも、実は14種類にもなるみたいですね。
しかも、馬専用の色が有るというのも、個人的には驚きました。
やはり太古の昔から、人間とは切っても切れないと言いますか、人間の暮らしをずっと支えてきてくれた動物ですので、固有の色があってもおかしくはないのかもしれませんね。
しかし100種類以上あると言うのですから、色の世界は凄いですね・・・。