イカをさばいていると、墨で手を汚すということはありませんか?
タコはもちろんイカも墨袋を持っていて、墨を吐きます。
ではイカはどんな時に墨を吐くのでしょうか。
イカはなぜ墨を吐くの?
まず、イカの墨袋はどこにあるのでしょう。
墨袋は直腸に沿って存在し、括約筋があってイカの意志で吐いたり、止めたりして吐く分量とタイミングを調節することができるそうです。
墨は「漏斗(ろうと)」という煙突のような器官から一気に吐き出します。
漏斗は、口のように見えますが口ではなく、本当の口は腕の真ん中にあります。
では、イカはどんな時に墨を吐くのでしょう。
イカは、身を守るために墨を吐きます。
外敵に襲われたとき、タコは外敵の視界をさえぎるために墨を吐くのですが、イカは少し違います。
タコの墨は吐くと一気に広がりますが、イカの墨は粘液が多く、ふーと吐いてもにわかに水中で広がりません。
墨は吐いたイカと同じくらいの大きさの形になり、外敵がびっくりして気を取られている隙に逃げてしまうのです。
イカの墨はダミーの役目をしているのです。
そんなすぐれものの、イカ墨の成分は何でしょう。
主成分はタンパク質つまりアミノ酸と、「ムコ多糖類」です。
「ムコ多糖類」は糖類とタンパク質の結合物質で、生体の運動を円滑にさせたり、細胞や組織の表面をなめらかにおおうことで保護的性質をもっています。
イカの墨の黒い色素は、人間の髪の毛と同じ「メラニン色素」によるものです。
ですから決して、毒を吐いているわけではないようです。
確かに、イカ墨パスタや、パエリアなど料理に使うことも多く、イタリアンやフレンチでもとても人気あります。
イカ墨には、タコ墨の約30倍も多くアミノ酸を含んでいるため味が良いそうです。
また、暗黒の深海にするギンオビイカなどヒカリダンゴイカの仲間は、墨を吐かないそうです。
代わりに発光液を吐き出すことから、これがおとりであろうと思われています。
進化の過程でこのような体になったのでしょうか。
まとめ
イカが墨を吐くのは、自らの姿に似せた塊を作るためだということがわかりました。
イカとタコの墨の主成分はほぼ同じですが、タコの墨は粘り気がないため、吐き出すと煙幕のように海中に広がりますが、イカの墨は粘液が多く、ふーと吐いてもにわかに水中で広がりません。
そのため深海に住むイカは墨を吐く必要がなくなり、墨袋が退化したものもいるそうです。