疝痛とは、馬の場合放置しておくと悪化して命を失うまで至る病気です。
一般に胃や腸などの消化器官に原因がある、発作的に起こるはげしい腹痛のことを意味します。
疝痛には便秘疝、風気疝、変位疝などが含まれます。
馬の疝痛の原因
では、どのようにして馬は疝痛を引き起こすのでしょうか。
第一に馬は身体の容積に比べて胃が小さいです。
胃から繋がる腸は長くて大きいうえに変位しやすいため、内容物が停滞しやすい特徴があります。
さらに馬は腹部に異常を生じても胃が小さいという身体の構成上、嘔吐が出来ず、腸神経が非常に敏感です。
つまり、馬の胃から腸にかけての構造は腹部に異常が生じると過敏に痛みを感じやすく、同時に嘔吐するなど対処しづらい点にあります。
競走馬の疝痛の原因
全力疾走を強要される競走馬は、突発性疝痛という疝痛をよく引き起こします。
これは普段の生活の変化や、激しい運動の後の脱水症が原因です。
突発性のため痛みがすぐ消えますが、過去には疝痛により安楽死した競走馬がいます。
それほどまで恐ろしい病気です。
馬の疝痛の治療
治療で最重要なことは、疝痛による腹痛を制御することです。
そのために迅速な診断と鎮痛剤の投与が求められます。
他に輸液療法で血液循環の低下を改善すること、電気針によるツボの刺激、浣腸で腸蠕動を改善することなどがあります。
このような内科療法での治療が困難な場合、早急に外科療法に切り替え手術を行う必要があります。
疝痛の治療に必要な馬の現在の状態の判断方法
飼育者に発症時期や症状などの聞き取りを行います。
その後、馬の体温、心拍数、呼吸数を測ったり、CRTや直腸検査と言った直接腸に腕をいれて状態を確認する方法が有ります。
最悪、命を失う病気ですので、馬の現在の状態を迅速にかつ、正確に把握する診断が重要になってきます。
馬の疝痛の予防
疝痛の予防は、適切な飼料管理を行うことで出来ます。
飼料を多く与えてしまったり、飼料の急な変更をしてしまったりすると疝痛を誘発する要因となります。
新鮮な水を摂取させる、普段から異常がないか観察することで予防、早期対処を行うことが出来ます。
疝痛の予防は馬を知ることから
馬は身体の容積に比べて胃が小さい、ということから飼料は1日3回以上に分けて与えることで胃の負担を少なくする、しっかり歯で食物を磨り潰せるように削れていく歯の形を整える、糞の形や量を観察することで消化器官に異常がないか見極めることなどが重要になってきます。
まとめ
命を落とす可能性もある恐ろしい病気の疝痛ですが、予防をしっかり行い早期に治療することで完治させることが出来ます。
内臓の病気ですが、食物が入る口内の状態、出てくる糞の状態を毎日観察して、少しでも異常があれば内臓でなにかが起こっていると判断することが出来ます。
発病したらすぐに治療を行いましょう。
これは、飼育者がどれほど一頭一頭の馬に注意深く接することが出来るかで予防、早期発見につながる病気です。