皆さんは、クローン羊の「ドリー」をご存知でしょうか。
その名の通り、クローンとして生まれてきた実在した羊のことです。
実はクローンと言ってもドリーの場合には、従来考えられていた方法ではない、その作り方に注目が集まっていました。
それでは、どのようにして「ドリー」は作られたのでしょうか。
クローン羊のドリーの作り方とは?
クローン羊のドリーを作るためには、まずはじめに6歳のメス羊Aの乳腺細胞から核をひとつ取り出し、0.5パーセントの血清濃度で培養を行います。
次にメス羊Bから取り出した未受精卵から核を除去し、そこにメスAから取り出した先ほどの乳腺細胞の核を挿入し電気刺激をあたえて細胞を融合させます。
この融合させた細胞をまた別のメス羊Cの子宮に移植することで、ドローン羊であるドリーが誕生しました。
驚きなのが、このドリーはオスの羊の遺伝子が全く入っていないので、遺伝子的には最初の羊とまったく同じコピーであると言われていることです。
それまでは受精卵の核を使って行うクローンについてはすでに開発されていましたが、体細胞の核を使って行われるのは不可能だと考えられていました。
しかし体細胞の核を使って行われたクローンであるドリーが誕生したことにより、多くの研究者が驚き大変騒ぎになりました。
受精卵を使った場合、クローンを行う回数は限られてしましますが、体細胞の場合には、制限なくクローンを作ることができてしまうのです。
倫理的な問題もあり、人間への応用を禁止するように訴える人も少なくないようです。
クローン羊のドリーの寿命はどれくらい?
クローン羊の場合、一般の羊よりも短命でクローンは寿命が短いと推測されていました。
ドリーも生まれつき遺伝子が老化しているという発表がされ、若いうちから関節炎を発症し最後は肺疾患をおこし6歳で安楽死させられています。
これはドリーの種類の羊の平均寿命が10年〜12年であることと比較すると、早い寿命です。
しかし、他の羊も同じ病を患っていたため、クローンとの関係性がないという考えもあります。
また、ドリーと遺伝子的に同一の「姉妹」の羊は寿命が短くなっていないため、近年では、この“クローン=寿命が短い”は覆されつつあるようです。
まとめ
短い寿命だったドリーですが、クローン研究を発展させたドリーの誕生は大きな出来事だったのではないでしょうか。
人間に応用すると同じ人間のコピーをたくさん作れてしまうというのは、すごい技術である反面、悪用されてしまうのではないかといった問題もあります。
クローンが多くの人の幸福な社会のために、正しく活用される日がくると嬉しいですね。