奈良公園には鹿が全部で約1180頭がいます。
この公園にいる鹿たちは国の天然記念物に指定されている野生動物です。
飼育されている鹿ではないので、所有者はいません。
奈良公園には「鹿せんべい以外の食べ物を与えたりしないでください」と書かれています。
なぜ鹿せんべい以外の餌を与えることが禁止されているのでしょうか。
奈良の鹿に鹿せんべい以外の餌を与えるのはどうして禁止なの?
鹿は春日大社の神使です。
春日大社創建の時に武甕槌命(タケミカヅチノミコト)という神様が白い鹿に乗って茨城県の鹿島神宮からやってきたという伝説があります。
そのため、奈良公園の鹿は古くから手厚い保護を受けてきました。
昔から鹿を殺めると厳しい刑罰が下されています。
「奈良の寝倒れ」といいますが、早朝店前で鹿が倒れていると、鹿殺しの疑いを持たれることを恐れ、こっそりと隣の店先に鹿を動かしていました。
そうして次々と店が鹿を動かしていき、それに気づかなかった寝坊した者が死罪となったのです。
以来、奈良の商家はみんな朝が早いといわれています。
それほどに保護されている奈良公園の鹿ですが、普段は公園内に生えている芝や木の実などの植物を食べています。
別の餌を鹿に与えてしまうと、鹿が虫歯になったり中毒などの病気になり亡くなってしまう可能性があります。
人間が食べた後の臭いがついた容器や袋を食べて、命を落とした鹿もいるそうです。
人間が食べるものは、鹿にとっては健康上良くないものなのでしょう。
鹿せんべいは米ぬかと小麦粉だけでできており、砂糖も塩も入っていません。
そのため鹿にとってはとても安全なおやつなのです。
ただ鹿せんべいも奈良公園の外で与えるのは禁止されています。
公園には柵のようなものがないので、鹿たちが公園の外で餌を食べることを覚えてしまうと、交通事故に遭う可能性もあるからです。
車道に鹿が出ると危ないですよね。
まとめ
奈良公園の鹿は野生ですが、保護団体の管理が入っています。
鹿せんべいの売上金の一部は鹿の生態保護に充当されているそうです。
鹿たちが長生きするために、公園内のルールを守って楽しく散策しましょう。