ここ数年、鹿の生息域が拡大し私たちの生活圏に出没するようになりました。
とくに増えているのが、鹿と電車の衝突事故です。
全国各地でも事故が後を絶たず、大きな問題となっています。
鹿が線路にわざわざ侵入する理由は何なのでしょうか?
なぜ電車を避けないのか色々と調べてみました。
鹿はなぜ線路に侵入するの?
鹿はなぜ線路に侵入するのでしょうか?
色々と理由はありますが、その1つに鹿は鉄分を求めて線路に侵入します。
線路周辺にはレールと車両の摩擦により生じた鉄の粉が散らばっていて、身体に必要な鉄分を補給するために鹿は線路に入るのです。
鹿は特に妊娠や出産、授乳により鉄分が不足しているので、それを補う為といった事情があります。
他の理由は、鹿の生息域の中に線路が多い事や過疎化による里山の荒廃、狩猟者が減ってきている事です。
そのため鹿の行動範囲が広がり、接触事故が年々増えてきています。
鹿はなぜ電車を避けないのでしょうか?
鹿は無心に線路をなめているので、電車に気が付かない事もあるのですが、群れで動く習性から電車を避けないという事もあります。
鹿は群れで線路を渡りますが、先の1頭が渡ると後に続く鹿も一斉に渡ります。
皆が通り終わる前に電車がきて逃げ遅れてしまい衝突するのです。
鹿の接触事故は電鉄会社にとって頭を抱える問題になっています。
電車の運休や30分以上の遅れ、代替え車両の手配など余儀なくされ、年間数千万円の損害を出しています。
その為、鉄道各社は鹿の衝突事故に対して様々な対策をとっていますが、なかなか苦戦している様です。
鹿が嫌うオオカミの尿を使った薬剤や、ライオンの糞などの成分を線路へ散布しましたが、雨で流されてしまうのと、鹿が慣れてしまい大きな効果はあげられませんでした。
線路わきに発光ダイオードの光を照射し危険を知らせる装置や、線路沿いに張り巡らせた策の上部に獣害防止ロープを設置したのですが、これらもあまり役に立ちませんでした。
JR東海は衝突した鹿を線路外へ押し出し事故を防ぐため、正面車両の下にクッションを設置しました。
運転が再開するまでの時間が短くなり効果を上げましたが、根本的な解決には至りません。
そんな中、鹿の踏切を設置した事で、電車と鹿の接触事故が無くなったというのです。
鹿踏切は、近鉄が津市などで設置した線路内侵入防止システムです。
一部の区間はシカが通れるように開放していますが、線路周辺に侵入防止ネットを張って、鹿が線路内に侵入するのを防ぎます。
列車が運行の時間帯のみ、鹿がきらう超音波を発信します。
列車の通らない時間帯に踏み切りを渡ってもらう事で、事故が無くなりました。
日鉄住金建材という会社では、鹿が鉄分を求めて線路に侵入する事からヒントを得て、鉄分を含有した世界で初めてのシカ専用誘引材(固形塩)「ユクル」を開発しました。
実証実験を行ったところ効果はてきめんで、鹿の生息地に一定数おく事でシカの鉄分を満たし、線路に侵入しないというものです。
まとめ
鹿が線路に侵入するのは、レールと車両の摩擦によって生じる鉄分を求めて侵入する事がわかりました。
鉄道会社では鹿と電車の衝突事故の対策について色々と苦戦していますが、中には効果的な物もあるので今後に期待がもてそうですね。